<PICTURE BOOK 大人のための絵本セレクション

さよならトンボ

作 石亀泰郎
文化出版局 2002年
1575円 (本体1500円)



さよならトンボ

手にとって、しばし表紙に釘付けです。
これは、なんだろう?
そう思いながら、よーく見て、
「さよならトンボ」というタイトルをもう一度、読んで、
そして気づきます。この美しい写真は、凍ってしまったトンボたちの写真。

「トンボの死」を誰も知らない…そのことに気づいたことが、この絵本を作る動機だったそうです。みんな知っているようで、実はよく知らないトンボ。
イエペはぼうしがだいすき』を作った石亀泰郎の新刊は、
そのあたたかな視線が、そのままトンボにすえられ、
最小限の言葉で、写真にこめられた物語を引き出します。

あさつゆに濡れ、仲間に会いに行くトンボ。おはなばたけで けっこんしき
お花畑での結婚式をするトンボ。
夕方になったら、仲間が集まってきて一緒に眠る…。
秋になり、弱っていくトンボたち。
仲間を助け出そうと懸命になるトンボの姿。
そして、さよならトンボ。

なんの細工も誇張もほどこしてないのに、
ただクッキリと伝わってくるトンボの物語。
切ない気持ちをがまんしながら、
美しい写真を何度も繰りなおさずにはいられなくなります。